2022年1月の短歌まとめ
今月つくった短歌は32首。
筆に染む
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月1日
ラメ入りインクに 希求する
吉書(きっしょ)始めの 踊る書契と
/uta #短歌 #tanka
変体仮名を読めるようになりたくて書いて覚えようとしている。その際に、万年筆用に買ったラメ入りインクと筆を使っているのだけど、ついでに新年の書初めもそれで書いてみたので作った歌。
蕭々(しょうしょう)と
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月2日
走る屍骸で 歩く肉
楽しい音に 追随してる
/uta #短歌 #tanka
走る屍、歩く肉というのは走尸行肉(そうしこうにく)のことで、何の役にも立たない人のこと。
処女雪に つける足跡
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月2日
彼者誰(かはたれ)ぞ
最も激しい静寂のなか
/uta #短歌 #tanka
愛媛にいると雪が積もらないのだけど、雪国出身なので雪が音を吸収した早朝の静けさがときおり懐かしい。彼は誰は日の出前の異称。
ししくしろ
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月2日
アンブロシアの 良味(よみ)をもて
かむ畏きも とこしへの生
/uta #短歌 #tanka
アンブロシアは神々の食べ物で不老不死になるというもの。(なので5句にとこしへの生がくる。)ししくしろは黄泉、うまいにかかる枕詞。良味で一応両方にかけている。「かむ」がひらがなになっているのは神と噛むをかけているため。とはいえ、日常レベルに落とし込むと「神レベルの美味しいものを食べて寿命が延びたわ♡」とシェフを大袈裟に称えるくらいの意味です。
多田智満子の『魂の形について』を読んだせいか神話的要素多めの歌ができあがっている。影響受けすぎ。
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月2日
誰何(すいか)する ファフロツキーズ
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月2日
該博の shrunken headは
かそけくいらふ
/uta #短歌 #tanka
これもちょっと神話的なシチュエーション。ファフロツキーズは怪雨とも呼ばれる現象で、一定範囲に多数の「その場にあるはずのないもの」が空から降ってくる現象を指す。shrunken headは装飾用の干し首のこと。誰何とはだれか尋ねること。かそけくは幽かに。いらふは答える。
🩸
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月3日
重たげに その身を垂れる 南天よ
こぼれる緋の 煩わしさよ
/uta #短歌 #tanka
おなかが重くてうぅ~ってなってるときに南天をみてつくった歌。
数字さえ 受けつけなくて
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月8日
あふことは
難しい君 型がないから
/uta #短歌 #tanka
「あふことは」はかたにかかる枕詞。そもそも型が用意されてないから数字も受け付けない。
つかねども
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月8日
作れないのよ モアレすら
規則正しくない私たち
/uta #短歌 #tanka
初句が気に入らないからいずれリライトしたい。なかなかまとまらなかった歌だから、がらっと変わる可能性もある。
あの人と 同じ名前で なかったら
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月9日
ここまで惑う こともなかったの?
/uta #短歌 #tanka
完全に思いつき。
供犠のあとの 焼かれた煙
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月10日
同胞の 数をかぞえて
羊は眠る
/uta #短歌 #tanka
下三句が先にできちゃったので、しばらく寝かせてました。ようやく上の二句をつけることができた。
目を交わし
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月10日
巫山の夢と なったけど
甘くはないよ 人外の恋は
/uta #短歌 #tanka
巫山の夢。仙女との交わりというシチュエーションの上でよんだ歌。
脳髄に
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月21日
特筆大書する君の
言語行動 視線の先を
/uta #短歌 #tanka
特筆大書という単語をつかいかった。そういう短歌をけっこうつくる。
behavior(ビヘイビア)
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月21日
道を外れた 私たち
エレベーターが ため息をつく
/uta #短歌 #tanka
下2句が使いたかった。behaviorは行動、振る舞いの意味で。
I went to a museum.
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月22日
一枚に 光の青と 陰の青
ソフトフォーカス された虚堂で
/uta #短歌 #tanka
詞書のままなんだけども、美術館で見た絵が青かったので。美術館は虚堂ではないけれど、地方都市のコレクション展って本当に人がこないわね。
目に映る
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月22日
全てのサインも シグナルも
役に立たない アウトライアー
/uta #短歌 #tanka
アウトライアーとは外れ値のことだけど「他より著しく異なるため一般的結論を導けない人や物や事実」を指す意味もある。そんな人物のだすサインやシグナルってわからない。
知らないって
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月26日
幸せなこと でもあるね
サッチェルバッグに
意思だけ詰めて
/uta #tanka #短歌
サッチェルバッグは学生鞄のこと。ファッション用語として使うとオシャレっぽい感じのバッグになる。
I love chocolate and you.
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月26日
剥き出しの 吐息を脳に 閉じ込めて
視線の先に 甘苦い色
/uta #短歌 #tanka
詞書のまま。チョコレートのことだよ。
It’s snake. Education tanka
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月26日
舌先が 割れて匂いを 感知する
ヤコプソン器官
口中(こうちゅう)の穴
/uta #短歌 #tanka
詞書のまま。なんの捻りもなし!
ため息と 紅まどんなの 薄い皮
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月27日
乱れた汁を 舌で迎える
/uta #短歌 #tanka
愛媛県が誇る紅マドンナをみんな食すべし!
灰色のdeflation(デフレーション)に
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月27日
飾りつけ(デコレーション)
demonstration(デモンストレーション)も無意味だ
『 デフレーション 』
/uta #うたの日 #tanka #短歌 https://t.co/JsUMQjyzJy
鈍色のdeflation(デフレーション)に
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月29日
飾りつけ(デコレーション)
demonstration(デモンストレーション)で踊らず
/uta
はじめてうたの日で出詠したうた。そのあとでリライトしてみた。
三千丈
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月27日
憂いに伸びた 白髪も
作詩の制約から逃れぬ
/uta #短歌 #tanka https://t.co/QJUHzPFw98
なんで「三千丈」なのかっていうのをWikipediaで読んだので。
木槌打つ
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月28日
陪審員の皆様の(顔を見渡し)
決を採ります
『 決 』
/uta #うたの日 #tanka #短歌https://t.co/fmbV5AtstM
うたの日に出詠。初句と結句以外リライトしたい。
なめらかな 陶器の艶(つや)を
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月28日
唇で 味わいたい 国宝の壺
/uta #短歌 #tanka
宮川香山とか並河靖之とかね。
踊り場の 窓を背にして
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月28日
私から よく見えるから
君の姿が
/uta #短歌 #tanka
どこかで見た本歌があって、それに対するうたをつくっていたんだけど、本歌をどこで見かけたのかわからなくなった。
深く掘れ
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月28日
出てくる水は いずれまた
溜まった土砂を 下へ滑らす
/uta #短歌 #tanka
詞書をつけようと思って忘れている。Boring and Landslide.
I go to the cinema alone.
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月29日
silent movieでも
映画館だと 静かに観てる
滂沱(ぼうだ)のままに
/uta 『 黙 』 #うたの日 #tanka #短歌 https://t.co/g8NAwtQ4hk
うたの日に出詠。お題から外しすぎる傾向がある。
黙々と 仕事をすると 澱の如(ごと)
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月29日
溜まる言葉の 出口求めて
/uta #短歌 #tanka
「黙」で詠みなおし。
赤レンガ 倉庫のはね橋で語る
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月29日
君の未来が 水面(みなも)に光る
/uta #短歌 #tanka
選ばなかったお題「煉瓦」で詠んでみたり。
オブラート 棒渦巻銀河つつみ
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月29日
星のさりさり 感を楽しむ
/uta #短歌 #tanka
選ばなかったお題「棒」で詠んでみたり。
『沈黙』に 見える許しと 信仰と
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月29日
祈りの残酷さは救いか?
/uta #短歌 #tanka
これも「黙」で詠みなおし。遠藤周作の『沈黙』
I hear your soul.
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月30日
その声を 一人占めする ための手は
喉輪攻めして 瞳を閉じて
/uta #短歌 #tanka
選ばなかったお題「喉」で詠んでみた。
Desire is the desire of the "other.
— Dolly (@Dolly_is_Sheep) 2022年1月30日
欲望は 君の言葉で 象徴(シンボル)で
互いのそれを 交換しようよ
/uta 『 欲 』 #うたの日 #tanka #短歌 https://t.co/bCMWphjdkJ
うたの日に出詠。完全にラカンのそれ。言葉を交換しあうっておしゃべりのことです。