鳥あるいはDolly

Dollyは人形でクローン羊でロリータ

『挑発する少女小説』

斎藤美奈子さんの評論は好きだ。本屋で見つけたので迷わず買ってしまった。

 

帯がついてないと本が寂しい感じだな。

取り上げられている少女向け児童文学は9冊だ。『小公女』『若草物語』『ハイジ』『赤毛のアン』『あしながおじさん』『秘密の花園』『大草原の小さな家』『ふたりのロッテ』『長くつ下のピッピ

いくつかはアニメでみたりしているからあらすじはわかるけど、はっきり読んだっていえるのは『あしながおじさん』『秘密の花園』『赤毛のアン』くらいかなあ。『赤毛のアン』は大人になってから再読したので、完全にマリラ目線だった。

さて、はじめに、で触れられている少女小説の特徴は4つある。①主人公はおてんば ②主人公の多くはみなしご ③恋愛よりも友情 ④少女期からの卒業 結末はたいてい保守的なものに収まるけれども、大人になってから読むと少女時代には気づかなったそれぞれのメッセージ性に気付く。

個人的にちょっと驚いたのは『あしながおじさん』の主人公ジュディが社会主義者だったこと。思春期に読んでいたときは、アメリカの大学生活にも興味がなかったし、書簡形式なのであまり面白いとも思ってなかったから記憶にほとんどないけど、ラストの正体を隠してジュディに近づいた挙句にプロポーズするというエピソードが、趣味の悪いおじさんだなと思った記憶がある。あまりロマンチックだとは思わなかった。このおじさんも金持ちであるにもかかわらず社会主義に傾倒しているという変わり者だったんだね。

ちなみに『小公女』の導入でおとぎ話と少女小説の違いについて書かれているけれど、斎藤美奈子のつっこみには毎回笑ってしまう。

『シンデレラ』といい『白雪姫』といい『眠り姫』といい、おとぎ話の王子ってものは、親の威光で食ってるくせに女を容姿で判断するような男ばかりです。

少女小説に出てくる主人公と結婚する男性は、少なくとも主人公を見た目だけでは判断してないからね。主人公がどういう人間かわかった上で結婚したりしている。

あと知らなかったんだけど、赤毛は聖書では裏切り者の髪色とされていて、キリスト教文化圏では忌避や差別の対象だったのね。赤毛が嫌がられるわけだ。キュートで可愛いのに。

長くつ下のピッピ』は絵本のイメージが強くて少女小説って思ったことがなかったな。2018年に展覧会もやっていたみたいだけど、興味なくて行ってないし。

ふたりのロッテ』は逆に大人向けというかミュージカルの印象が強い。

大人になった今、読んでみようかなと思ったのは100分de名著でとりあげられた『ハイジ』かしらね。